アメリカの感冒薬売れ筋&注目商品
医療費の高いアメリカでは、カゼ程度の病気でわざわざ医者に行く人は少ないようです。ホームドクターに電話してもタイレノールなどの市販薬を飲んでおくように指示するだけで、2〜3日経って症状が改善されないようだったら診察を受けに来るように言うケースが多いのです。
カゼ程度の病気の場合、多くの人は近くのスーパーマーケットなど、小売店で売っているOTC(以降、市販薬)を買って治してしまいます。
また、マネージドケアに加入している人は、まずアドバイスナースに電話をして治療の指示を受けることができますが、カゼなどの軽疾病では自宅療養しか受け付けてもらえません。そのかわり数時間後には、患者のもとにコールド・セルフケア・キット(カゼ治療セット)が自宅まで送られて来ます。そして、その中には3種類の風邪薬と喉飴、無塩チキンスープの素、ハーバルティーが5日分入っていて、患者はキットの中に添付されている治療マニュアルに従って、カゼを治さなければならないのです。
だが、誰しも効きめに満足していないのがカゼ薬で、何か特徴を持った新製品が上市されると大きな期待をもって飛びつく人が多いようで、市販薬の中でも成長率の高い市場となっています。
最近の注目製品は、「クラリチン」と「アラバート」で、医療用からスイッチされた新規成分のロラタジンが10 mg配合されています。
また、剤型の種類も、錠剤やキャプレット、また顆粒にとどまらず、キャプシール、ジェルキャプセル、ジェルキャップ、スパンレット、発泡錠、シロップ、ホットドリンク、レモンティーなどさまざまで、生活者の好みにあわせて選べるようになっています。なかでも、仕事を休めないワーキングウーマンにとっては、簡便性と即効性の高いリクイドカプセルやタイムリリースへの人気が高い。当該薬効群は従来シロップ剤形が中心だったが、経時変化の心配や持ち運びが不便さなどから減少の傾向にあります。
風邪薬には、「Cold」と「Flu」と「Sinus」と「Allergy」があって、症状によって使い分けられています。
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「Cold」は細菌やウイルス感染による風邪と理解されている。症状は鼻がズルズルするとか、微熱が出るとかで、小さな症状が比較的長期に渡って続く場合で、これには「ベナドリル」や「タイレノールコールド」を指名する人が多い。フルー用の薬は、基本的に熱、咳、鼻に効くことが理解されていることから、コールドの症状の時に飲んでいる人は実際多い。 |
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「Flu」はインフルエンザウイルス感染による風邪と理解されている。症状は劇的で、高熱が一気に出て、その後、咳などの症状を伴うのが一般的だ。そんな症状の緩和を目的に購入しているのが「テラフル」や「ヴィックス・デイクイル」だ。解熱成分が多く配合してあるのが特徴といえる。 流行性感冒の兆しが見えると、多くのドラッグストアでは予防接種のサービスを店内で始める。インフルエンザ予防接種は普通 10〜15ドル程度だが、ハイリスクの(学校や病院などで働いていたり、多くの人と接触する機会が多い)人は無料で受けられる。しかし予防注射は鶏卵がベースとなっているので、卵アレルギーの接種には細心の注意が払われている。 |
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「Sinus」は副鼻腔を指し、そこが詰まったり炎症が生じることによって引き起こる頭痛やタンのからみなど、耳鼻科系の症状に利用されている。「ベナドリル」や「アドヴィル・コールド&サイナス」、またタイレノールのコンビネーション薬「タイレノール・サイナス」は良く売れている。大陸性気候のアメリカは花粉や枯草菌の飛散が多く、春だけでなく年間を通じて花粉症に悩む人が多い。そんな鼻炎症状には「Allergy」を選択する。 従来では抗ヒスタミン成分配合の「ベナドリル」、「スーダフェッド」、「タイレノール・アレルギー」だったが、クラリチンとアラバートの参入によって市場は大きく変化している。眠くならないことと、1日1回の服用で長時間効くのが購入理由の一番になっている。 |